気相と液相が共存する平衡状態は気液平衡と呼ばれます。相平衡とは、このように複数の相が平衡状態になった状態を言います。ガス吸収、蒸留、液液抽出等の精製分離操作は、相平衡を利用した操作です。当研究室では、2で述べた常圧下での気液平衡(溶解度)の測定のほか、高圧下の気液平衡も測定しています。高圧では光を通さない不思議な臨界点(下図参照)も観察できます。臨界点は、超臨界流体の不思議な挙動の原点です。
セルの入った観察窓が見えます。
これがセルの窓です。向側から明かりを点けています。
★ HFC32−HFC125系の臨界点観察
これはビデオ画像です。臨界点寸前の散乱光による夕焼けのような様子が良くわかります。臨界点では光はすべて散乱され、真っ黒となり、これをもって臨界点とします。残念なことに、ビデオ画面には臨界点は写っていないので、臨界点を見たいときは下の静止画を見てください。
臨界点寸前ビデオ
液体が蒸発するときは熱を奪い、液化するときは熱を放出する。これがエアコンの原理で、冷暖房が可能となります。混合物を用いてこのサイクルを動かすと下図からわかるように(本当?)省エネルギーになり、電気代が安くなる可能性があります。HFC
混合物について測定しました。あなたも省資源型冷媒の探索を行いませんか?効率をどのように表したらいいでしょうか。
高圧装置なので安全性を確保するため物々しいですが、実際の構成はシンプルで、原料の供給設備、温度調節、真空ポンプ、分析器(ガスクロ等)などの設備を使って、温度、圧力、組成測定を測定します。
圧力計を見る学生達
装置概観。ハンドルを回してセル体積を変えることができる。
循環ポンプ
セル。下部が窓(サファイア)
精密温度計(1/100 Kまで正確)
精密圧力計(0.15%の誤差)
HFC32 (1)-HFC125 (2)系の気液平衡測定結果です。この系は、成分の蒸気圧が似ているため気相と液相の組成の差が小さな測定しにくい系です。黒丸は臨界点(気相と液相の組成が同じ)で、それを連ねた曲線が臨界軌跡です。BWR状態方程式で計算した結果を実線で示しますが収束性が悪いところがあり、臨界軌跡も計算できませんでした。
Fig.2 Comparison of VLE data for HFC32 (1)-HFC125 (2) system in this work with estimation of extended BWR equation of state using a correlated function, solid line: calculated from extended BWR equation of state (See Sec.4). 1:349.15K, 2:345.15K, 3:343.15K, 4:340.15K, 5:333.15K, 6:318.15K (Mixed with Kobayashi et al. [1]. See Fig.5), 7:303.15K [1], 8:293.05K [1], 9:283.05K [1], 10:273.15K [1]